ローカル線の「勝手踏切」とハイテク装備の第4種踏切

JR三江線は、江の川に沿って島根県の江津と広島県の三次をつなぐ長さ100㎞あまりのローカル線です。利用者が少なく膨大な赤字のため、来年(2018年)3月末の最終運行をもって4月1日付けで全線が廃止されることが決まっています。
なくなる前にと、片道は列車に乗り、もう片道は線路沿いの狭い道を自転車で走って来ました。

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三江線横断事情

三次から江津へと流れる江の川の河谷は、山あいを蛇行して流れるため、川沿いに平坦地はほとんどありません。また、同じ規模のほかの河川と違って下流域の江津近くになっても平野はありません。

川沿いには数十キロおきに少しだけ開けた土地があり、そこは「浜原」「因原」「乙原」といったように「原」のついた地名で呼ばれ、町役場や商店などのあるまちの中心集落や農地などに利用されています。

その以外の区間の中流から下流にかけての左岸は、江の川と背後の山林との間の狭い場所を鉄道(三江線)と町道と住宅が分けあって使っています。 図は左岸の標準的な土地利用を示したものです。場所によっては鉄道が山側にきたり、あるいは川側に位置したりします。

また、住宅は何十軒も列状に続いているのではなく、ところどころに数軒ずつ点在する程度です。三江線沿いのほとんどが住宅の立地しない区間です。

三江線の勝手踏切

江の川の河谷で多くみられる土地利用で問題になるのは、生活道である町道と住宅が鉄道によって分断されてしまうことです。町道から家に出入りする際には三江線の線路を横断しなければいけませんが、一軒一軒の住宅ごとに踏切がついているわけではありません。

むかしの国鉄時代は、各自が列車が来ないことを確かめて好きな場所で線路を渡っていたのですが、分割民営化以降はそうもいかないようです。
安全第一を標榜するJR 西日本ですので、ご丁寧にも一軒ごとに「危険なので渡らないように」と書かれた看板が線路の両側に立てられていました。

しかし近くには踏切のある通路がなく、鉄道会社のいうような安全に渡ることのできる場所はどこにもありません。

ちなみに法律では、営業路線を横断する行為は「列車往来妨害」に該当します。 これは、列車の接近には関係なく、踏切以外の場所で線路を渡ること自体が違法行為となります。

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現在、三江線の列車は本数は少なく、1日に上下各4~5本ずつ、あわせて10本前後です。運行ダイヤは朝に2本、昼に1本、夕方から夜に2本で、遅延や運休がないかぎり決まった時刻に通過します。住民の方々が線路横断にともなうリスクを負担し、列車に注意すれば支障がないので黙認ということなのでしょうか。

このように三江線のいくつかの場所では、踏切以外の場所での線路横断を日常的に行なわざるを得ないような状況です。このような場所は踏切ではないので、俗に「事実上の踏切」とか「勝手踏切」と呼ばれるようです。いずれにせよ、危険な「列車往来妨害」行為には違いありません。

最新技術を駆使したハイテク装備の第4種踏切

鉄道事業会社としては、勝手踏切がある箇所へ危険告知の看板を立てて安全な通路や踏切へと誘導しています。ですが、近くに踏切がないので抜本的な解決には至っておらず、このまま来年の廃線をむかえることになる模様です。

いっぽう、鉄道事業者によって踏切の設けられた箇所では、警報器や遮断機のない踏切の安全度を高める機器の設置がすすんでいるようです。

踏切は安全施設の設置状況に応じて4つの種類があるそうです。

都市にある踏切のほとんどは警報器や遮断機がありますが、三江線のようなローカル線では、踏切の標識などがたてられているだけ、列車が接近を通行者の目視等にゆだねられている「第4種」の踏切がたくさんあります。

こうした警報器や遮断機のない踏切での事故を防止するために、三江線のいくつかの「第4種」踏切では、センサー付の新しい機器が設置されていました。
踏切に人が近づくとセンサーが感知し「あぶないので左右を確認するように」というアナウンスが流れます。

設置は段階的に進められているようです。設置箇所はまだ何箇所かに限られていましたが、センサーとアナウンスを組み合わせたこういう機器を見たのは初めてです。

さすが安全第一を標榜するJR西日本です。


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