さらにオリンパス・ペンEESを発掘!

オリンパス・ペンEE-3に続きEESを発掘!

オリンパス・ペンEESとEE-3押し入れから発掘されたオリンパス・ペンEES(右)とEEの箱
左下は以前に発掘したオリンパス・ペンEE-3

先日、所用で帰省した折、押し入れを整理していたらオリンパス・ペンの箱がでてきた。最初は空箱かと思ったが、持ってみると重いので何か入っている。

開けてみると、グレーの滑り止めのついた初期型のオリンパス・ペンEEが1台でてきた。初期のオリンパス・ペンはニコンFと同じように裏蓋が本体と分離できる構造で、フィルム交換にちょっとだけコツがいった。
箱は子どものころに自分が使っていたEEのものだが、中から出てきたのは使ったことのないEESだった。刻印された製造番号を確かめてみると、自分が使っていたEEよりも3万台ほど後に製造されたものである。3万台と言っても爆発的に売れたモデルなので、2台ともたぶん同じ時期の製造だと思う。

どうやら父は、1965年ごろに家族用として購入したEEのほかに、自分の仕事などに使うサブカメラとしてこのEESを追加購入したようである。

オリンパス・ペンEEのカタログオリンパス・ペンのカタログ 【1965年版】

オリンパスペンEESは、当時のカタログに記載されているようにレンズがEEと異なっている。
レンズをF2.8の30㎜としたうえで、前玉のまえに距離調整用のリングを加えて、近距離(1.2m)・中距離(3m)・遠距離(20m)の3段階でピント調節をできるようにしてある。
シャッターを押す前にひと手間増えてしまうが、固定焦点のオリンパスペンEEが苦手だった近接撮影を改善し、ピントのあったクッキリした写真をめざしたのであろう。
また、レンズはEEのf=28㎜に対してEESは30㎜が採用されている。135換算の近似値でいうと、f=約39㎜と42㎜の差異である。したがって、画角はすこしだけ狭くなっている。
EESのレンズはEEよりも明るいので、光量の不足しがちな夕方や室内でシャッターを押したときにでる撮影不能を示す赤いベロがでにくくなっているはずである。

各部の状態や動作をざっと確かめてみた。シャッター速度も切り替わるし、受光量の少ないときはベロがでるので、セレンもまだ生きているようだ。フィルムの巻き上げ機構、残数式のフィルム駒数計もちゃんと動く。
裏蓋のモルトはさすがに傷んでいたが、自分が使っていたEEのように裏蓋自体の歪みなどはなく、モルトを貼り替えれば何とかなりそうだ。

暇なときにモルトを貼り替えてフィルムを入れて使ってみよう。
それにしても、一眼レフを数台持っていたのに、オリンパスペンを3台も購入した父は、よほどこのカメラが気に入ったのだろう。

オリンパス・ペンEESの点検整備

実家で発掘して持ち帰ったオリンパス・ペンEESを点検整備し、つかってみることにした。

裏蓋底部のモルトの貼り替え裏蓋底部のモルトの貼り替え

まずは、経年劣化でボロボロになっていたモルトを取り除き、ボディ内部を簡単に掃除する。掃除が済んだら、次はモルトの貼り替えだ。

貼り替え箇所は裏蓋とボディの2箇所だが、そのうち裏蓋の底のモルトは、型紙をつくり、モルトをデザインカッターで切り抜いて、裏蓋の金属部分に貼付けた。
ボディ側は、裏蓋の端が収まる溝に細く切ったモルトを押し込んで済ませた。

モルトの貼り替えができたら、最後に各部の動きに異常がないかもう一度確認する。
セレンを用いたEEシステム、2段階あるシャッターの動作、絞り幕の動作、フィルムの巻き上げ機構、フィルムカウンターの動作など基本的な機構はすべてOKだった。
少なくとも20年以上、もしかしたら30年前後、押入の中で放置されていたのに、各部がスムーズに動いたのには正直、驚かされた。

点検整備が終ったので、さっそくテスト撮影をする。近くのキタムラに行ってフィルムを買い求め、装填してそのまま店の近くの市街地で20カットほどテスト撮影する。
一旦帰宅して、MTBで市街地近くの山にでかけてテスト撮影を続けた。
24枚撮りのフィルム1本分、計50カットほど撮り終えるとその足でキタムラに寄って現像してもらい、仕上がり品を持ち替えった。

現像したフィルムのインデックスプリントテスト撮影のインデックスプリント

現像のおまけでついてくるインデックス・プリントを見ると、結果はまあまあだ。木陰の暗いところで撮ろうとして赤ベロがでたので、露出を手動に切り替えたカットを除き、とくに破綻したカットはみあたらない。EEやシャッターはおおむね正常に動作しているようだ。

夕食後、1コマずつフィルム・スキャナーで読み取ってPCの画面に拡大して写り具合を確認しようとした。ところが、しばらく使っていなかったSCSI接続のスキャナーを動かすために残していたXPのパソコンの調子がよくない。
スキャナーも機嫌が悪い。ガタガタ音を立てながら、なんとか1カットだけスキャンできたものの、その後は途中で動かなくなってしまった。
悪いことは重なるもので、PCの電源にも不具合があるのかして、再起動を繰り返しているうちに電源が入らなくなった。
またいらん仕事が増えてしまった。

製品寿命が短く、なにかと手間のかかるPCや周辺機器に比べると、オリンパス・ペンEEは、20~30年ぐらいほったらかしていても故障せず、電池なしでも動き、撮りたいときにすばやくさっと撮れるじつに優秀な工業製品である。

スキャンの前にパソコンとフィルム・スキャナーの修理

フィルムスキャナーの前衛芸術フィルム・スキャナーが読み取った前衛芸術

自分で点検整備したオリンパス・ペンEESでテスト撮影したフィルムをパソコン画面で確認しようとしたが途中で断念するはめになった。専用のパソコンとフィルム・スキャナーが同時に壊れたため、翌日の日曜は朝から修理三昧である。

まず、手始めにSCSI接続しているフィルム・スキャナーを動かすXPパソコンの修理から着手する。調べてみると、7、8年前に一度交換した電源が逝ってしまったようである。近くにあるパソコンショップに行ってATX電源を購入し、持ち帰って電源を交換して完了。ここまでで昼になった。

ちなみにこのパソコンは2009年の購入だが、これまでの約10年間に電源を2回、マザーボードとグラフィックカードを1回ずつ交換している。消耗品扱いのHDDやファンの交換は4、5回ぐらいか。最近はフィルム・スキャナー専用で動かす機会も少ないが、最初の5年間はメイン機として毎日長時間稼働させていたので、パーツ交換も仕方がないと言えば仕方がない。

昼からは、スキャン中に途中で動かなくなる古いフィルム・スキャナーの修理に取りかかる。今では絶滅してしまったSCSI接続のLS-2000を買ったのは2002年のこと。
当時、フィルム・スキャナーは高嶺の花だったが、モデルチェンジされた旧型がメーカーの直販サイトで投げ売りされていた。投げ売りといっても5万円ほどしたが・・・

ようやく手に入れることができたフィルム・スキャナーはよく働いた。15年以上経った今となっては、うちにあるPCや周辺機器のなかで一番の古株となった。これを動かすだけのためにXPのパソコンを1台残してある。
このスキャナーは10年ほど前に一度、メーカーのサービス課に送り込んでオーバーホールをしている。メーカーが補修サービスを打ち切ることを表明したので、終了直前の駆け込み整備である。メーカーはもうフィルム・スキャナーから完全撤退したし、程度の良い中古機の流通もきわめて少ないので、手持ちの機種のご機嫌を伺いながら使っていくしかない。メカが動かなくなるような大きなトラブルは、購入後、今回が初めてだ。

フィルム・スキャナーの不具合は、エラーコードを海外のサイトで調べるとステッピング・モーターが正常に動いていないことがわかった。ステッピング・モーターというのは、時計の秒針のように指定した角度ずつ回るモータである。パルス電力に同期して動作するので、精密な位置決めを行なうことができる。
36㎜×24㎜の135フィルム1カット、ハーフサイズだと18㎜×12㎜を2700dpiでスキャンするためにはミクロン単位での位置決めが不可欠である。

電子的・電気的な故障はお手上げだが、メカニカルな故障なら自分でなんとかなるケースもあるので、ダメ元で修理してみることにした。

スキャナーをバラして、電源スイッチをON・OFFさせながら位置決めをしているモーターの動きを観察したところ、光学ユニットが止まってしまうおおよその原因が掴めた。

フィルム・スキャナーの修理ステッピング・モーター(左)から伸びているスピンドル(↓)

ステッピング・モーターから伸びているスピンドルには細かいネジ山が刻まされていて、モーターの軸を少しずつ回転させて、スキャナーの光学ユニットを細かく移動させていく仕組みである。
故障の原因は、スピンドルのネジ山に付着したグリスが劣化して固くなり、さらに塵やホコリなどの汚れが付着したためである。モーターのトルクが負けて動かなくなってしまったようである。

オイルを浸した綿棒でスピンドルを丁寧に洗浄し、ちょうど手元に【ちょう度ゼロ】の柔らかいグリスがあったので、それを薄く塗って、何度か動かしたところ、一応動作するようになった。何事も諦めずにやってみるものだ。
ちなみに整備に使用したオイル類やちょう度ゼロのグリスは、すべて自転車用のもので、趣味の自転車用品が思いもよらぬシーンで役立った。

テスト撮影の結果

予期していなかったPCとスキャナーの同時故障でお預けを食ってしまったが、オリンパス・ペンEESで撮ったフィルムを一日遅れでデジタル化してモニターで拡大画像をみることができた。
結果は上々で、一日かけてPCとフィルム・スキャナーを修理した甲斐があった。

28㎜レンズのついたEEを使い慣れているので、被写体によっては30㎜レンズのこのEESの画角はすこし窮屈に感じることもあるが、大抵は数歩下がれば済むことである。
それ以外はとくに不満はない。

テスト撮影した画像を何枚か並べてみる。被写体に応じて距離目盛を三択で合わせる以外、シャッターを押すだけで撮れるのだからたいしたものである。
フィルムはフジカラー100で、どちらかと言えば素直で地味な発色である。コダクロームのようにインスタ映えするような派手な写真は撮れないが、空気感を含めて見た景色をきちんと写すこの小さな古いカメラの凄さが伝わるだろうか?

オリンパス・ペンEES テスト撮影ペンの得意な縦位置でのスナップ

オリンパス・ペンEES テスト撮影モニターで拡大してみたが解像度は申し分ない

オリンパス・ペンEES テスト撮影ペンEEの苦手だった近距離の被写体にもピントが合う

オリンパス・ペンEES テスト撮影イノシシの捕獲用の檻

オリンパス・ペンEES テスト撮影畑の番をするワン君を発見

オリンパス・ペンEES テスト撮影秋の山の雰囲気をよく捉えている

秋の夕暮れの空気感や光もきちんと写っている

使ってみて、オリンパス・ペンEEは、やはりいいカメラだと思う。


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