ヘッドランプ千夜一話

中学のときのハイキングやキャンプでは普通の懐中電灯を使っていましたが、高校の山岳部に入り本格的に登山をやりだしてからずっとヘッドランプを使ってきました。近頃では年齢とともに目のダイナミックレンジが狭くなり、少し暗いところで細かな作業をするときも見えにくいので、普段でもヘッドランプを使って手元を照らすこともしばしばあります。
これまでにヘッドランプのお世話になった日数を合計すると、たぶん一千夜は軽く超えるはずです。

以下は、これまで使ってきたヘッドランプについて、ざくっと一話にまとめたものです。

春になって時間ができたら、雪解けの脊梁山地を越えて山陰の鄙びた温泉にサイクリングに行く計画を温めています。1泊の予定ですが少し距離を走るので、夕暮れ以降、もし夜道を走るはめになった時に備えて前方を照らすヘッドランプは必需品です。
そこで昨日は忙中閑を見つけて、山用のヘッドランプを自転車で使えるようにと、ちょっとした改造をしていました。その改造も簡単にご紹介します。

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■自転車のヘッドランプいろいろ

使ってきた自転車用ランプいろいろ

これまでにいろんなタイプの自転車用ヘッドランプを使ってきました。
最初に乗った22インチの子ども用の自転車に付けていたのは、金属製で四角い小箱のような形をしたナショナルの自転車ランプでした。金属製の持ち手が付いていて手提げでも自転車に取りつけても利用できるよう工夫されており、創業時代からの松下のロングセラー・看板商品でした。落としても簡単には壊れなかったし、接触不良などのトラブルも少なかったです。松下の屋台骨を支えただけあって、とても頑丈で優れたランプでした。ネットで検索すれば画像があります。

中学生になって5段変速のジュニアスポーツ車に乗りはじめたときは、バッテリーからダイナモで発電するライトに進化しました。ダイナモは後輪の横、左側のシートスティに付いていて、前後に電線が伸びてヘッドライトとテールランプに給電していました。

中3になってチューブラータイヤのロードに乗るようになると、ヘッドランプやダイナモはつかわなくなりました。

そのかわり、夜は乾電池式のセーフティ・ランプを右腕に付けていました。このランプは、回りを走る車に自転車が走っていることと、進行方向を知らせるためのランプです。使っていたのはマテックス(的場製作所)の製品で、当時使っていたものはもう処分しましたが、別のメーカーのワンダー社のランプが手元に残っています。基本構造は同じです。
当時は毎日、夜も練習で走っていました。交通事情が今とは違いますが、こんな提灯だけでよく夜道を走っていたものです。

セーフティランプのほのかなあかり【1970年代】

ロードレーサーに乗りだして10年以上経ったころ、数年だけですが古いロードを普段のゲタ代わりに乗っていました。その時は、ダイナモとランプが一体になったブロックダイナモをフロントフォークに取り付けて使っていました。バルブは霧のパリを彷彿とさせる黄色い光を放つノルマ製のイエローバルブです。そういえば、あのバルブは1個200~300円ぐらいして高かったけど、少し速度を上げるとよく切れました。

ソービッツのブロックダイナモ【1970年代】

MTBが流行りだした80年代後半からは、ブロックダイナモをやめてバッテリー式のランプに戻ります。定番の猫目社の自転車用ヘッドランプを使い始めまたのはこのときからです。
このころになると灯火類に使われている電球にクリプトン球やハロゲン球が採用されています。 明るいハロゲンバルブのついた機種をいくつかつかいました。電池が単2で重かったですが、故障は少なく信頼性はありました。

ハロゲン球のヘッドランプ【1990年代】

21世紀になるとLEDが一気に普及して主流になり、軽量かつ小型で明るい製品がたくさんが出てきました。
猫目社の製品もハロゲンからLEDにシフトしました。普及グレードの機種を何台かつかいましたが、LEDになってからは突然点灯しなくなるトラブルを何回か経験しています。明るくしたり点滅などの多機能化にともない、トラブルが増えたように思います。回路の不具合なので原因はわかりませんが、設計に無理があったり、基板につけられている電子部品が振動で接触不良になったのかもしれません。自転車特有の振動によって基板や電子部品などが受ける影響は、意外と大きいものです。

ちなみに猫目社は自転車用アクセサリーの専門メーカーですので、振動などの自転車の特性はよく知っているはずですが・・・・・・

猫目社のよいところは、ブラケットなど細かなアクセサリーを別売していること、補修用のスモールパーツが充実していることです。
そんなわけで現在も猫目社のLEDランプを使っていますが、けっして満足しているわけではありません。

■まるで猫の目のような猫目社の製品

ついでなので、猫目社の製品でいちばん不便に感じている点、つまり製品に対する不満を書いておきます。

それはズバリ、ださいデサイン!


猫目社の自転車ランプのブラケットいろいろ

ではありません。
ヘッドランプを使うのは夜なので、見た目のデザインに多少難があっても、手元はよく見えませんでの気になりません。

上の画像は、1990年ごろから現在に至る猫目社のヘッドランプと、ランプをハンドルバーに取り付けるブラケットを並べたものです。左側の2種が古くて、右に行くほど新型になります。これらは手持ちの分だけです。充電式の高価な製品は買ったことがないので、もしかしたらほかにも種類があるかもしれません。

手持ち分だけでもヘッドランプのブラケットの種類は、(1)から(4)までの4種類あります。

これらのうち、
・(3)用ランプボディは最新の(4)のブラケットにも使用できます。
・その逆に(4)用ランプは(3)のブラケットには取付できません。
上記の(3)と(4)との片側互換を除くと、(1)~(4)の4種には互換性がありません。歴代のブラケットとランプの取付部位は、サイズも固定方法もよく似ているのですけどねえ・・・・・・

そればかりか、ランプをブラケットに取り付ける際の挿入方向も統一されていません。
(1)のブラケットにランプを取り付ける際は、ランプを手前から前方に向かって押し込むように滑り込ませます。

(2)~(4)のブラケットはその逆です。取り付ける際はランプを前方から後方に引き込むようにブラケットにセットします。しかも、取付手順が逆方向の(1)と(2)は一時期、何年間かにわたって併売されていた製品です。

めんどうなので画像を撮りませんでしたが、テールランプとそのブラケットも似たようなものです。何種類かあって混沌とした状態です。

リフレクターからはじまった猫目社は、この分野のアクセサリー専業メーカーとしては、業界最大手で歴史もある企業です。しかし、ランプ製品に関しては社名の猫の目のようにコロコロと規格を変える替えるクセがあるようです。
長年にわたって製品を愛用しているユーザーのことをあまり考慮しない困ったメーカーといえます。

自転車部品の分野では、堺に本社を置くS社が世界の頂点に君臨しています。そのS社はといえば、工業製品であるにもかかわらず国際規格を無視した独自規格を乱発するばかりか、新旧の自社製品の互換性をないがしろにすることで有名です。

まあ自転車関連の製品は、金儲け第一主義でユーザーを置いていくのがあたりまえの業界なので、猫目社も最大手のS社に一歩でも近づこうとして見習ったのかもしれません。

■登山用のヘッドランプいろいろ

登山を始めたのも自転車と同じ時期からです。最初はハイキングに毛の生えたようなものでしたので、手で持つふつうの懐中電灯でした。サンヨーから『カドニカ』という充電式の懐中電灯も発売されたのも、たしかその頃だっと思います。カドニカは停電時の非常用に買ったのが家にあったので、ときどき持ち出していました。しかし、暗くて連続使用できる時間も限られていて、山ではあまり使い物になりませんでした。

高校の山岳部に入って本格的に登りだすと、懐中電灯から両手が使えるヘッドランプに変わりました。
最初のヘッドライトは大きな単一電池を使うナショナルの製品でした。2年ほどして、フランスのワンダーというメーカーの製品が輸入されると、すぐにそちらに鞍替えしました。

ワンダーヘッドランプ
(1972年ごろのIBS石井スポーツのカタログより)

ワンダーのヘッドライプは、特殊な形の専用電池が必要でしたが、単一を使う国産のヘッドライプに比べるとかなり軽く、コンパクトな製品でした。価格は国産の2倍ほどで、本体が1500円、電池が150円前後だったと思います。デザインもさることながら画期的だったのは、ヘッドランプのほかにセパレートになっている電池箱にもライトが付いていたことです。
同時点灯が出来たかどうかはよく憶えていませんが、ランプへのコードのプラグを半挿し状態にすると、たしか両方点灯できたように記憶しています。手持ちの懐中電灯とヘッドライプの両方があるとなにかと便利なのと、片方のランプがスペアバルブとしても流用できるのでなかなか重宝しました。

その後、何年かして専用バッテリーの供給が途絶えてしまいました。ワンダーが使えなくなり、またナショナル製品に逆戻りです。

その頃のナショナルのヘッドランプは、電池が単1から単3を4本使うタイプに変わっていました。電池の小型化にともない、電池室もケーブルでつながっていたセパレートタイプから、ランプと同じ頭のところにあるコンパクトな一体型が主流になっていました。
このタイプは構造がシンプルで故障も少なく、その後20年間ぐらい使いました。山の道具では、機能がシンプルなこと、山で不具合が起きたときその場で修理ができることはとても大切です。

その後、冬山や高所などの低温下でも性能の落ちにくいリチウム電池が開発され市販されました。ナショナルからもリチウムと単三を併用できる製品がでたので、結構高価でしたがそれに買い換えました。

21世紀になると、登山用も自転車用とおなじくLEDのヘッドランプが主流になりました。
バルブからLEDへの乗り換えは遅くなりましたが、LEDになってからはフランスのペッツル社の製品を使っています。むかしほど劣悪な条件下で使っていませんので、なんとも言えませんが、いまのところトラブルは経験していません。

■登山用ヘッドランプを自転車用に改造する

さて、ここからは改造工作の話です。

登山用のヘッドランプを自転車で使うには、自転車のハンドルバーに固定する仕掛けを作る必要があります。ヘッドランプにはバンドがついているので、自転車でも登山のときと同様にそのまま頭に付けていてもいいのですが、ヘルメットを被っているので固定が甘くなりがちです。さらに、登山に比べて発汗量が多いので、ヘルメットへの空気流入を妨げるものを頭に付けたくありません。 そんな訳でランプは自転車用のブラケットを使用してハンドルに固定することにします。

登山用ヘッドランプを自転車に固定するためには、ハンドルバーのブラケットに取り付けるための小さな金物、いわゆるアダプターが必要です。

このアダプターは市販されていませんので、自分でつくることにしました。手順も工作もそんなに難しくはありません。

まず、登山用ヘッドランプの本体をバンドから外します。次に、自転車用のブラケットに取りつけるためのアダプターをアルミ板から切り出し、ヤスリで削って寸法と形を整えます。
仕上がったアルミのアダプターをヘッドランプに取り付けます。

今回は、手元にあった薄い鉄板と25ミリ幅の平織りのナイロン製テープを使って、アダプターをヘッドランプを固定しました。
仮止めして自転車に取り付けてみて、照射具合を確かめてからテープと金物を固定しました。固定方法は片方を袋にして差し込み、もう片方をネジ止めとしています。

未舗装の道やアスファルトがヒビ割れて凸凹になった田舎道を走ることが多いので、振動でランプがブラケットから抜け落ちないよう「流れ止め」もつけておきました。むかしのスキー板に付いていたあの「流れ止め」と似たようなものです。ペッツルのヘッドランプは結構高いので、落として落胆しないよう、転ばぬ先のヒモです。

取り付けた日の夜、近所を試走して明るさや照射の範囲などを確認しました。おむむねOKです。

翌日は、丘陵地用のCX車に取り付けて、近くの山の林道や登山道を走って、取付部位が振動の影響を受けないかテストしてきました。とりあえずは大丈夫のようです。


数週間後、サイクリングにでかけた折、帰路が日没を過ぎてしまい夜道を1時間ほど走行する機会がありました。
明るさ、照射範囲とも良好で、振動によるブレもなく、自転車専用ヘッドランプと同等もしくはそれ以上の機能を発揮できているようです。

路面からの振動によるランプの電子回路への影響については、しばらく使用しながら観察してみないと何とも言えません。【2017/03/27追記】

■新型セーフティランプの自作

ヘッドランプの改造工作の話のついでに、最近つくった新型セーフティランプを紹介しておきます。

ずっと上のほうで書いたように、むかしはロードでの夜間走行の時は提灯のようなセーフティランプを右腕につけて走っていました。

セーフティランプが前方を照らす明るさは、現在の基準からみても道交法の規定からみても問題外ですが、後続車に自転車で走っている自分の存在や位置を示すポジションランプとしては機能的です。右腕の赤提灯は捨てがたい魅力をもっていると思います。
自転車本体に取り付けるテールランプに比べて、路面からの位置が高いので視認性が高いこと、最も右側に位置する右腕につけるので、側方間隔の鈍いドライバーに対しても自転車とクルマとの距離感をより正確に伝えることが期待できるからです。

自転車にずっと乗っていていつも思うことですが、ここ20年ぐらいは側方間隔をよく掴めていない下手なドライバーが増えました。さらに乗用車の多くが3ナンバー化して車幅が拡大したことも関係してか、安全な側方間隔をとれていないクルマが増えています。

事故予備軍ともいえるそんなドライバーやクルマに対して、我が身を守るためにセーフティランプを捜しましたが、いい商品がないので既製品などを流用して自作しました。

自家製の新型セーフティランプ

画像のように点灯および点滅式のテールランプを右腕に付けられるように、ブラケット、広幅のゴムバンド、面ファースナー(マジックテープ)などを組み合わせたものです。

ゴムバンドを折り返すことで、取付位置や締め加減を片手で微調整できるようにしています。締め具合などは個人差がありますが、走行中にズレたり締めすぎたりといった不具合があると案外気になるものです。

転ばぬ先の杖ならぬ、下手なドライバーに引っかけられぬ先のセーフティランプであれば、それにこしたことはありません。何事も「無事是名馬」ですから。

【2017/04/02:この項追記】

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