築地場外市場を走りまわる自転車

■築地場外市場

豊洲に立派な新市場の建物ができあがっているのに、暗礁に乗り上げたままで先に進めない築地市場の移転問題。
トロ箱を積んだターレット(ターレ)やトラックが行き交う築地市場、いわゆる場内市場はプロ向けの中央卸売市場です。卸売り業者が競り落したマグロなどの商品を仲卸業者が仕入れ、それを鮮魚店や寿司屋などの業者に販売しています。

いっぽう築地市場の北側、波除通りから晴海通りにかけての一帯には、400あまりの店が並んだ「築地場外市場」と呼ばれる市場があります。
場外にある店は、寿司屋や飲食店の業務用の買い出しに利用されるほか、一般客相手の小売りもしており、市民や観光客でも利用できます。また、築地市場の移転後を見越して、場外市場の一角に「築地魚河岸」という新しい生鮮市場も最近開設されました。

「築地魚河岸」内の鮮魚店の店先
クエ1本22万円からブリ1切200円まで、いろんな魚が並んでいます

何年か前になりますが、ちょっと用事があって築地にある新聞社に出掛けたついでに、近くの場外市場の見物に行ってきました。まぁ、おのぼりさんです。

■働き者の運搬車

場外市場の通りの脇や狭い路地のあちこちに停められた古式ゆかしい自転車。
他所ではあまり見かけなくなった丈夫そうな運搬車で、MADE IN JAPANの黒光りしたやつばかりです。

長靴を履いた店のおっさんが、ダンボール箱やトロ箱に入れられた商品を積んだ自転車で、人混みを縫うように走り回っています。自転車も乗り手もそれなりに年期が入っています。
行き交う様子を眺めていますと、なかなか華麗な運転テクニックです。商品の鮮度を落とすことなく速やかにお客のもとに配達しなければならないので、自転車といえどもプロフェッショナルの運転です。

この自転車は高級魚を扱う店の特別仕様車のようです。荷台の上に本格的な生け簀を装備しています。材は寿司屋のカウンターに使われる檜でしょうか? 自転車本体と特注の生け簀で結構な金額がかかっていそうです。

■鮮度とスピードは命 急げ! 遅いことは牛でもやるぞ

1964年の東京オリンピック開催と前後して埋め立てられてしまいましたが、昔は市場のすぐ横を築地川が南北に流れていました。築地川が波除通りと交わる場所には、かつて小田原橋が架かっていました。川の両側は堤防の名残なのか少し高くなっていて、橋があったところの東側と西側はゆるやかな坂道になっています。
そこをダンボール箱やトロ箱を満載したおっさんが、古式豊かな自転車を立ち漕ぎしながら走り抜けていきます。おっさんの乗車姿勢は腰が入っていて、素人には真似のできないかっこ良さが漂っています。

築地市場が豊洲に移転したあとも、場外市場は現在地に残ることになっているそうです。最近は自転車のかわりに荷台のついた原付三輪車を使う店も増えているようですが、小回りが効く点は自転車に軍配があがります。

まだしばらくの間は、古式豊かな自転車が荷物を載せて築地界隈を走りまわる光景を見ることができるでしょう。


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