(15) 牛がいたぞ~!

『暮らしのある川の風景』本編の「荒ぶる川と闘った牛」の冒頭で、牛が川辺の原っぱに放たれて、草を食んだり流れに足をひたして休んでいるのどかな光景を最近はあまり見かけなくなってしまった、と書きましたが、牛が放たれている川辺を見つけました! 川に牛がいるのを見たのは本当に久しぶりです。

後述する理由で川の名前や所在地を公開しませんが、川の右岸に家族だけで経営されている小さな牧場があり、牧舎のなかで十数頭の牛が飼われています。牧場といっても北海道のような大面積の牧草地があるわけではないので、普段、牛は近くの休耕田や河原に放たれているようです。
牧場は川に面しているのですが、流れが右岸に寄っており、牧場のすぐ横には適当な原っぱがありません。そこで、牛は飼い主に引かれて小さな潜水橋をとおって左岸に渡り、河原に降りて草を食んだりしながら半日を過ごし、夕方近くに再び橋をわたって牧舎に戻るという暮らしを毎日送っているようです。

牛を見つけたのは午後5時前、牧場の夫婦がそろそろ牛を牧舎に連れ戻そうと迎えに来たところでした。

しかし、牛クン、鼻がちぎれんばかりに鼻輪のロープを引っ張られても、渾身の力をこめて尻を押されても、脚をふんばって一歩たりとも動こうとしません。表情からもテコでも動かんという思いが伝わってきます。きっと川辺がよっぽどお気に入りなんでしょう。

勝ち目のなさそうな綱引きの合間に牧場主のかたから話を伺うと、広い土地がないので休耕田や河原に放しているそうです。糞尿で川が汚れることもあるので、川を管理するお役人さんがヨイ顔をしないということでした。確かにそのとおりで、牛が川辺から消えてしまった背景には、こうした水質汚濁の問題があったからかもしれません。
ただし、この牛を見かけたあたりでは、人間さまの糞尿や生活排水を始末する集落排水や下水道の処理施設も、まだ整備途上にあることを付け加えておきましょう。


Memo

・所在地情報非公開
・撮影:1999/05
・旧版公開:1999/06/23、改訂版公開:2017/04/24


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