(59) 痛恨の極み 城北川

川のうえを覆い被さるようにして走る高速道路。いまとなっては、大都市を流れる川の見慣れた姿ですが、この景観を美しい、あるいは好ましいと思う人は、おそらくいらっしゃらないでしょう。

いささか古い新聞記事ですが、20年ほどまえの朝日新聞の天声人語に次のような記述がありました。

退職していく大阪市の一人の幹部が、送別のパーティで話した。
「公共事業の立案にかかわってきた長い役所歴の中で、私はひとつ、大きな過ちを犯した。市内の川を埋め、そこに高架の阪神高速道路を建設したことである。」   (朝日新聞 1980/08/31)

 そう、まことにあなたのおっしゃるとおり。

あなたがたのつくられた高速道路は、『水都』とよばれた大阪の風景を台なしにしてくれはりました。中之島界隈しかり、市内を流れていた水路網の多くが消え去りました。
この川だって、昔は城北運河とよばれたドブ川ではありましたが、ポンポン船や艀が行き交い、ドブ川にはドブ川の風情があって、いまよりもずっと川らしい風景でありました。

かといって、巨大な鉄とコンクリートの塊は、いまさら取り壊せるものではなく、このまま21世紀へと引き継がれていきます。
「痛恨の言葉」を残してあなたが引退されてから、はや20年。パーティの席上で後輩たちに託された言葉も、世代交代がすすみ、もはや人々の脳裏から消えさったかもしれません。

愚行を繰り返さないために、この際、貴重な「お言葉」を川岸からよく見える高速道路の橋脚にでも刻みこみ、ながく後世に伝えていかねばなりませぬ。


Memo

・大阪府・城北川
・撮影:1992/04
・旧版公開:2000/09/22、改訂版公開:2017/08/23

・文中の年数の経過表示は、旧版公開当時のままです。


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