(73) 大阪空港原田進入灯橋(上) 千里川

 わが国では、建設省と運輸省が合体して国土交通省が誕生する以前から、なぜか空港と川の関係が深く、東京国際空港は多摩川の河口に、大阪国際空港は大阪平野の西端を流れる猪名川のほとりにあります。なかには、富山空港のように神通川の河川敷の中につくられたものもあります。

ここ大阪国際空港には、猪名川と平行して長短2本の滑走路があり、滑走路の南端には猪名川の支流千里川が流れています。滑走路は、西側の長いほうが中型・大型ジェット機用、東側は小型ジェット機や今や希有な存在となったプロペラ機が利用しています。もともと千里川は、現在の空港敷地のなかを流れていましたが、ジェット化などによる滑走路拡張のために現在の場所に引越してきました。

大阪空港へのファイナル・アプローチは、卓越風や航空路の関係から千里川のある南側から進入することが一般的です。信貴山や和泉山地の上空から大阪平野に入った定期便のジェット機は、大阪城から新大阪駅の上空を経由するほぼ一直線のルートで2本の滑走路のうち、長いほうの「32L」と呼ばれる滑走路をめざします。

その32Lの滑走路に接する千里川には、両側に柵を設けて人は渡れないようにした小さな青い橋が架けられています。32Rに進入するYS11の機内から撮った一番上の画像にも小さく写っています。
人が渡れない奇妙な橋は、航空機が滑走路に進入するための目印となる進入灯を滑走路の末端から一定間隔で設置するために架けられたもので、大阪空港原田進入灯橋と呼ばれています。

滑走路は制限区域のため金網で囲まれていますが、千里川の堤防には自由に入ることができます。ジャンボなどの大型ジェットがこの橋の上を超低空飛行でかすめていきます。進入時のスピードは時速250キロ前後だそうです。
おそらく日本の空港の中で一番近い位置で着陸の瞬間を見られる場所として、その筋のマニアの方などには有名な所です。マニアや見物客を当て込んで、休日には近くの道路にタコ焼き屋の屋台がでたりするのは、さすが大阪といったところでしょうか。

ランディングの瞬間を見るのは、ヒコーキマニアならずとも面白いモノです。着陸のショックで乗客に不快感をあたえないために、機首を上げ後輪からソフトに接地する最終の操作や、横風が吹きすさぶ日の姿勢制御には、パイロットの腕がそのまま反映されます。
一般的にはソフトに着陸するほど腕がいいと思われがちです。しかし、主翼が揺れるような悪天候時にはドスンと着地するのが安全な場合もあり、あえてハードなランディングを行なうベテランパイロットもいるそうです。


Memo
  • 千里川・大阪府
  • 撮影:1992/02、1993/06、1993/07、1994/04
  • 旧版公開:2001/08/10、改訂版公開:2017/08/22
  • 「千里川の土手」はヒコーキ見物の名所としてすっかり有名になりました。
  • 国際線が関空に移動し、エンジン3基以上の大型機の離着陸が規制されてしまったので、以前ほどの迫力はありませんが相変わらず見物客で賑わっているようです。

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