(90) ここで泳いだらアキマセン! 保津川

保津川といえば『保津川下り』でよく知られた川。400年ほど前に角倉了以によって保津峡の急流に舟道が開かれ、丹波でとれた農産物などが舟に積まれ、この川を下って都へと運ばれました。
時代は変わって、今は観光客を乗せた舟がこの川を下ります。保津峡には早瀬や流れに迫った岩場などの難所がいくつもあり、流れを知り尽くした一人前の船頭になるまでには10年を要するといわれています。

この場所は、そんな保津峡のちょうど真ん中に位置するJR保津峡駅の真下。早瀬を下った流れが河岸の岸壁にぶつかって直角に向きを変えています。川下に向かって右側には州浜があります。平安時代、清和天皇が鵜飼をして川遊び楽しんだという伝承もあり、「鵜飼が浜」とか「うこうの浜」と呼ばれる景勝地です。

京都市内から電車で30分ほどで来ることができるので、毎年、夏になれば、暑気払いに川で泳いでやろうという若者が訪れます。
けど、ここで泳いでは絶対にアキマヘン!

この場所の上流には、ちょっとスリリングな早瀬があります。夏の晴れた日には、瀬の横の岩場で甲羅干しするビキニ姿の美女が現れるという伝説もあるようです。
瀬には速い流れによる白い波飛沫がたっていますが、瀬が流れ込んだ先は大きなプールのような水面です。瀬の水流も勢いがなくなり、瀬から少しはずれると流れはあまり速くないように見えます。なので岩場の上から勢をつけて飛び込めば、向こう岸の州浜までひと泳ぎでいけそうです。

しかし、この場所の水面下には、早瀬が水中に潜りこんでできるジェット噴流のような速い流れが潜んでいます。さらに、流れが川底の岩とぶつかって渦もできています。ここに不用意に立ち入ると、たちまち川底に住んでいる河童どもに足を引っ張られます。これまでに沢山の人がこの場所で溺れている「水難死亡事故の多発地点」です

ビールを飲んで、対岸までひと泳ぎしようとしているそこのお兄さん。ここで泳ぐのはやめといた方がいいですよ。


Memo
  • 保津川/京都府
  • 撮影:2006/05、旧版公開:2006/05、改訂版公開:2017/02
  • 把握できている範囲だけでも、この場所付近での水難死亡事故は、2003年から2013年の間に7件も発生しています。

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