福知山線のこと(4) 最後の日

川西池田や生瀬に何回か通っているうちに、福知山線の定期列車を牽くC57の運行は3月24日で終わってしまうことを知った。
最終日は幸いにも春休み、改めてネットのカレンダーで確認してみると日曜日だった。通い慣れた川西池田や生瀬ではなく、生瀬と武田尾の間にある武庫川渓谷に行って最後の勇姿を見送ることにした。

事前のロケハンはなし。早朝、下りのディーゼルカーに乗り武田尾に着いた。
同じ列車から降りた乗客は2人だけ。自分以外にも写真を撮りに来た人が一人いた。福知山線に通い出して半年あまり、鉄道写真を撮る人と会うのや言葉を交わしたのはこのときがはじめてだった。その人は大阪市内から来たNさんといい、一緒に線路づたいに歩いて生瀬方向に向かった。
C57が牽く上り列車の武田尾の発車時刻まで約30分。あまり時間はない。ダイヤを確認してから短いトンネルを2つ抜けたところで、見通しのきく線路脇の崖に登って通過を待った。

しばらくすると武田尾駅を発車する汽笛が谷間にこだました。ほどなく長尾山第三と第二トンネルに入る合図の汽笛が聞こえた。
朝もやの残るなか、線路に向けてカメラを構えていると、長尾山第二トンネルを抜けてライトをつけたC57がやってきた。機関士が崖の上にいるわれわれ2人を見つけたのか、汽笛を短く「ボゥッ」とならした。
このあたりは下り10‰勾配なので列車はアッと言うまに通過し、白い煙をのこして武庫川渓谷沿いの線路をかけていった。後姿を見届けながら、機関車が次の長尾山第一トンネルに入る手前で3枚目のシャッターを押した。

上り列車は行ってしまったが、まもなく下りの特急まつかぜやって来る。帰路もトンネルを通るので、まつかぜの通過を待ってから武田尾に戻ることにした。まつかぜは特急の名にふさわしい長い編成で姿を現した。
まつかぜが通り過ぎたあと、Nさんと再び線路を歩いて武田尾に戻り、次の上り列車でC57のいる宮原に向かった。

【次は】武庫川渓谷をゆく – takaginotamago


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