暮らしのある川の風景

川は、地域の自然や文化、人々の暮らしぶりを反映した流域の鏡である。

「暮らしのある川の風景」とは、
人々が川に生かされ、川もまた人々の生活を支えてきた緊密な関係が、
水辺のたたずまいのなかに感じとれる、
川という自然に溶け込んだ生活の記録である。

山紫水明、水の国日本には、大小さまざまな川が流れている。
平野をゆったりと流れる大きな川もあれば、
のどかな田園地帯を流れる野の川もあり、
山襞を縫うように谷間を駆け下る渓流もある。
なかには痛めつけられ忘れさられたドブ川もあるが、
川にはその川の流れる地域や場所に応じて、
四季折々に変化をみせる自然の息吹があり、
川とうまく折り合いをつけながら暮らしを立ててきた人々の営みがある。

ともすれば社会経済や生活様式の変化とともに、
次第に失われつつある川と人との良き関係について、
川とともにある人々の暮らしを探しながら、各地の川を訪ねていきたい。

そして、日本の風土に根づいた「暮らしのある川の風景」を
再発見することによって、
風土と文化を形成する母体としての川を未来に託したいと思う。


  【目 次】
■荒ぶる川と闘った牛 長野県・遠山川
川で遊んだ牛、流された牛、川と闘いやがて自然にかえる牛

■城下図に描かれた昔のまち・ひと・かわ 石川県・犀川
江戸時代の犀川と人々の暮らし

■買物は渡し舟にのって 大阪府・淀川
淀川を渡る庶民の足「平太の渡し」 在りし日の風景

■揖保川の流れ橋 兵庫県・揖保川
日本の風土が生んだ流れ橋と川辺に暮らす人々の技と知恵

■蔵屋敷が並ぶ川 兵庫県・佐用川
宿場町の面影を伝える平福の川辺

■しろうおが還る川 山口県・松本川
城下まち萩に早春を告げるしろうお漁

■鶴江の渡し 櫓継ぎ式 山口県・松本川
藩政時代から受け継がれる渡し場の櫓

■河内の屋根つき橋 愛媛県・麓川
ちょっと珍しい屋根つき橋を訪ねて四国の山里に

■水神さまのいる川辺 福岡県・筑後川
「おぼくれませんように!」と水難除けを願う子供相撲


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