水系と自然環境
猪名川は、一級水系淀川に属する一級河川で、淀川流域の西端部に位置しています。
猪名川流域図 注:余野川ダムは建設中止となった
(資料:猪名川工事事務所 管内図パンフレット付図、1995年)
猪名川は淀川には直接合流していませんが、猪名川の流末が摂津市の一津屋地点で淀川から分派している神崎川に合流していることから、神崎川と同様に淀川水系に属しています。猪名川の水系は、本流と42の支流(法河川)で構成されています。
猪名川の流路延長は、本流が43.2km、支流が合計218.2㎞で、流域面積は383㎢の中規模の河川です。流域は、東西約20㎞、南北約33kmの逆三角形を成しています。
本流は、丹波高地に位置する標高753.5mの大野(おおや)山付近に源を発し、北摂山地から流れでる槻並川、阿古谷川、一庫大路次(ひとくらおおろじ)川などの支流を合わせ、里山に挟まれた谷底盆地を蛇行しながら南へと流れています。途中、景勝地として知られる屏風岩、天狗岩などの渓谷を成し、鼓ケ滝付近の狭窄部を過ぎた五月山の西麓で余野川を合流したのち、池田市で大阪平野に流れ出ます。
池田より下流の区間は、大阪平野を流れる堤防河川となります。右岸の伊丹段丘から流れる最明寺川、左岸の千里丘陵から流れる箕面川、千里川などを合わせながら、沖積平野を緩やかに湾曲しながら流れています。
下流の5.4㎞地点において派川の藻川を分派し、河口に相当する流末から0.6㎞の地点で再び合流したのち、神崎川に注いでいます。
流域の地勢や流れの状況からみて、一庫大路次川合流点付近、池田床固付近をそれぞれ境として上流域・中流域・下流域に大別することができます。池田床固は、阪急宝塚線橋梁の少し下流の低水路に設置されている河川管理施設です。
なお、上に掲げた上・中・下流の流程区分ですが、境界をどこに設けるかについては諸説があります。
流域は瀬戸内海気候区に属しており、比較的温和な気候です。
中~下流域では年降水量1,400~1,500㎜であるのに対して、上流域の山地では年降水量が1,600~1,800㎜程度とやや多く、梅雨時の雨量が多い降水特性がみられます。
水文特性としては、流域の形状や降水分布・土地利用などから、豪雨に見舞われた際、洪水の流出が非常に速いという特性が指摘できます。とくに、中流域に位置する鼓滝の銀橋付近の狭窄部の直上流部、および堤防河川となる中~下流域にかけては、水害が発生する可能性が高い区間です。
流域の地形は、流域面積の約80%に相当する約300k㎡が山地で、大規模な平地は余野川合流点より下流の中~下流域に偏って分布しています。
流域の地質は、上流は中生層・第3紀層の諸岩が介在した古生層によって構成され、下流の低地部は帯状の第4紀層が分布しています。
流域の植生のうち、中~上流山地の林相は、古くから「池田の菊炭」に使われる薪炭林としての利用がなされてきたことから、ほとんどが2次林や人工林となっています。おもな樹種は、クヌギ・コナラなどの広葉樹とスギなどの針葉樹で、それぞれの構成比率はほぼ同程度です。
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