My実験ノート

STAP騒動の功罪

このコンテンツは、以前書いたものの使い回しですが、愛用しているB6ノートのことを少し書いてみます。元ネタを書いたのは、2年ほどまえの理研の小保方博士とSTAP細胞の騒ぎのころです。

脳みその経年劣化にともなって年々作業能力が落ちているのに加えて、今年はSTAP細胞の問題にかなりの時間と気を削がれました。
騒動の舞台となった理化学研究所は『科学者たちの自由な楽園』と言われてきた立派な研究機関です。所属している研究者は誠実で優秀な人ばかりだと思っていました。

しかし、一連の騒ぎによって杜撰で荒唐無稽な偽科学者が紛れ込んでいたこと、湯水の如く浪費される研究費(その多くは助成金)などの実態が次々に明らかになりました。変な色つきの壁や内装、穴の空いたイタリア製の高級家具などは研究者の私的な趣味以外のなにものでもありません。こうしてさまざまなベールやメッキが剥がれたのはSTAP騒動の大きな成果だったかもしれません。

さまざまな情報はネットの集合知が先行し、マスコミは2日ほど遅れて後を追うという展開でした。会見のネット中継が何回もあり、しかも面白いので、なかなか目が離せませんでした。
本当なら世紀の大発見なのに実験内容を記録したノートは、落書き帳のようなものがほんの数冊しか呈示されません。それにも関わらず「STAP細胞はありまぁす!」と言いきったあの捏造学博士は、ほんまに実験をしていたのかな?

My実験ノート

うちの稼業は、基本的にはフィールドワークが主体です。ですからラボはありませんし、室内での作業もあまり多くないです。それでも月に何日かは部屋の中で自転車をバラしたり、部品をヤスリで削ったり、ギアを組み替えたりゴソゴソやっています。

作業の記録は「3年後の自分のために」という師の教えに従って、きちんと実験ノートに付けています。もちろん日付もちゃんと記入しています。

記述量は、実験の回数や内容によって多かったり少なかったりしますが、ネットで検索しても載っていないことを自分でやる場合は多くなります。
例えば、古い自転車をいじっていて、ボス歯を加工した変則的な組み替えとか、コンマ1ミリ単位でシムを挿入しての歯間調整といった実験的な作業の場合は、満足できる結果がでるまで何日もかかかります。その過程の成功や失敗の記録、考察などを逐一記入していくとかなりの量になります。
いっぽう簡単な内容だと某博士のように1~2行の落書き同然のメモですむこともあります。
何年か前からちょっとずつ進めていたシマニョーロのカンパ10Sとシマノ9Sの完全互換のやりかたも、ここにきてようやく目鼻がつきました。「カンパ→シマノへのホイール交換時は、シフトケーブルのアジャストねじを1回転半緩める」とノートに記録しておきました。

情報の在りかを捜すのはGoogle先生

書きためたノートは結構な分量になります。仮に毎月に1冊として年12冊、10年で120冊、20年だと240冊にもなります。実際にはスチールのキャビネットに300冊ほど入っています。
どこに何を書きとめたのかを憶えるのは、劣化した脳みそではとうてい無理です。去年ことですらよく覚えていません。ですので、せっかく書き留めた情報を捜しだすときに苦労しないようにひと工夫が必要です。

「分類するな。配列せよ!」という師の教えに従って、B6ノートは1ページに一項目とし、タイトル(サマリー)と日付を必ず記入します。書き終えたノートは、検索用の目次をつくって表紙に貼付け、時系列で並べています。
次にひと手間かかりますが、目次を手書きですませずにパソコンのエディタかワープロソフトでつくります。これはPCの画面上でキーワードを入れて検索するためです。
一度、試しに簡単なデータベースを組んでみましたが、途中でやめました。あまり手をかけると手段が目的になってしまいかねないからです。記録の在りかを捜すだけなら、ワープロソフトやエディタの検索機能で十分だと思います。

高校をでたころに読んだ梅棹忠夫著『知的生産の技術』に薫陶をうけて以来うん十年。その間【B5判大学ノート】→【B6カード】→【A4判ルーズリーフノート】→【B6カードに逆戻り+A6判のメモ紙】→【チラシの裏】と、いろいろ試行錯誤を重ねてきました。
結局20年ほど前に、いまの【B6ノート+PCでの検索】に切り替えて、わが『痴的生産の技術』はおおむね実用レベル達したものと自分では思っています。


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