「ハチイチシキ ジソウカチュウキョウ」
NATO軍が列車ごと橋を空爆するこのご時世(注:1999年当時)、なにやら物騒な名前の橋です。が、平和を謳歌する日本では、家族連れがこの橋を楽しげに渡っていきます。
この橋は、遠賀川で開かれたイベントにあわせて設置された自衛隊の仮設橋。橋脚と橋脚の間を1径間といいますが、1径間ごとに大型トラック1台に積んで自由に移動することができます。だから名前が自走橋。
この橋の長さは3径間で30mですが、川幅がもっと広いところでは、いくつも繋ぎ合わせることができます。架橋に要する時間は1径間あたり、わずか20~30分程度とのこと。
地震や洪水といった災害で橋が壊れたときには、こういう橋があると頼もしい限りですな。それに橋の荷重は、なんと42トンまでOKだといいます。
普通の乗用車はもちろん、救援物資を満載した大型トラックだってそんなに重くな~い。じゃあ、ナニが渡る?
じつは戦車が渡っても大丈夫なようにつくられた「戦場に架ける橋」なのです。
Memo
- 遠賀川/福岡県
- 撮影:1997/10
- 旧版公開:1999/04/18、改訂版公開:2017/04/05
- この仮設橋が開発された当時、自衛隊の主力戦車は74式でしたが、その後、重さが50トンもある新型の90式戦車が配備されるようになりました。新型戦車が重すぎてこの橋では対応できなくなったことから、橋も新型が開発されたようです。
- 新しい橋は07式機動支援橋という名前で、2007年から制式化され各地の部隊に配備されています。07式機動支援橋は中間の橋脚も不要な構造に変更され、1径間で60mまで対応できるようになったとのことです。
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