四万十川とともにすっかり有名になった潜水橋。またの名を潜り橋、沈下橋ともいいます。
その名のとおり、大水が出て川の水かさが増えたときは、流れの中に潜りこみます。流されてくる木などが橋桁に衝突して、壊されたりしないようにするために考えだされた構造です。橋を架ける費用も少なくて済むので、地方を流れる川の市町村道の橋でよく見受けられます。
山口県の西北部を流れる川に架けられていたこの小野橋も、のどかな田園の風景にとけこみ、対岸にある住宅や田畑への往来に使われていました。
しかし自然は、時として人間の思惑をはるかにこえた力をみせつけます。
この地域では1999年6月末に集中豪雨に見まわれました。そのときの大水でコンクリート製の重たい橋桁が2つ、いずこへと消え去りました。
昭和40年代にも大きな洪水があり堤防が切れたほどだったのですが、今回もそれと同じぐらいの水が出たそうです。濁流が運んできた岩が激突して木っ端微塵になったのか、それとも流れの力にさらわれたのか・・・・・・
ポツンと残された橋脚は潜水艦のブリッジのようでもありますが、いつまでたっても潜水橋が浮上して、かつての全貌をみせることはありません。
Memo
- 流された小野橋の橋桁は、その翌年か翌々年に新しいものに架けかえられました。橋の構造がシンプルで、橋脚が大きなダメージを受けなかったので、復旧も早かったのだと思います。
- 1枚目の写真は復旧直後の2001年の撮影、2枚目は15年経過した2015年に撮ったものです。
- 最初のころは真新しいコンクリートが白っぽくて、まわりの景色から浮いていましたが、歳月の経過とともに次第に馴染んでいきました。
- コンクリート構造物の景観の評価には10年ぐらいの「時間軸」というものが必要なわけです。
- 粟野川/山口県
- 撮影:1999/05、1999/07、2001/02、2015/11
- 旧版公開:1999/07/15、改訂版公開:2017/05/03
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