(31) 舟橋をゆく 遠賀川

舟橋とは舟を利用した橋です。川に数本の鎖やロープを張って流れのなかに舟を何隻か繋ぎとめ、それらの上に板を渡して両岸をつないだものです。古くは「浮橋」とも呼ばれ、『古事記』や『万葉集』のなかにも登場します。

この舟橋も流れ橋と同様に、気まぐれな日本の自然に逆らわない構造となるよう考えられた橋で、洪水のときには、舟を繋ぎとめる鎖やロープの一部を切断し、橋を左右に分解してしまいます。一時的に橋の機能は失われますが、大切な舟は、残りの鎖やロープで岸とつながれているので、流失しないですむように工夫されていました。

近代架橋技術の発達や交通手段の変化とともに、舟橋は日本の川から姿を消してしまいましたが、水辺で開催されたイベントにあわせて臨時の舟橋が架けられていました。

川を渡る様子をみていると、白い傘をさしたおね~さんが舟橋を渡っていく渡っていくさまは、なかなか風流なものです。生まれてはじめて舟橋を渡るワン公も、嬉しそうな顔をしています。

二千円札をつくるほど財政に余裕があるのなら、水面を間近に眺めながら川を渡るという至福のひとときを味わえる舟橋や流れ橋を各地で復元していくという案は、如何なものでしょうかねぇ。


Memo

・遠賀川/福岡県
・撮影:1997/10
・旧版公開:1999/10/12、改訂版公開:2017/05/18

・旧版公開当時、二千円札が発行されました。数回見かけましたが、今は何処に?


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