このシリーズの10作目「橋下に橋を架す」でご紹介した、橋の下に架けられたもうひとつの橋。それと同じようなシーンが勝山を流れる旭川にもありました。
頭上を横切る欄干のある橋は、まちの中心部に架かる中橋です。長さは100メートル近くあるでしょうか。現在の橋が何代目かは知りませんが、江戸時代末期の町割図をみると、既に橋が架けられたようで、以来、川の両岸を結んできました。
いっぽう水面近くにある下の橋は、左岸の岸辺から中州に渡るために架けられたもの。長さ10メートルたらずの板橋で、端にロープが結びつけられた流れ橋です
このあたりは、昔、高瀬舟の船着き場だったところで、川舟が行き来した当時の写真をみるかぎり、この中州はなかったようです。あるいは、舟運の妨げになるため定期的に川浚えが行われていたのかもしれません。
時代とともに川の様子は変化し、町並みに沿って細長く伸びる現在の中州は、小さな盆地に軒を連ねて暮らす勝山の人びとにとって、いわば裏庭のような存在です。近所の子どもの遊び場となったり、散歩や犬の運動など利用できる格好の場を提供しており、裏庭に足を運ぶ多くの人たちにこの下の橋は使われているようです。
対岸を結ぶ中橋と中州に渡る流れ橋、ともに勝山に暮らす人々にとって欠くことのできない橋です。
Memo
・岡山県・旭川
・撮影:2000/04
・旧版公開:2000/07/18、改訂版公開:2017/08/29
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