今年(2002年)の冬は例年よりも暖かく、冬の間も月1回のペースで川に通い、訓練をつづけていました。3月下旬、再びホームゲレンデの佐波川にやってきました。
今回は昨年の7月から開始した初級訓練の総仕上げです。
泳ぎや流れの中を歩く技術も一応身につけたようなので、初級訓練の最後の見極めということで、危険箇所を見抜く状況判断がきちんとできるかをテストします。
前々日に少し強い雨が降ったため、この日の流量は普段の3割増しといったところです。訓練の場所は、緩やかな流れから白波の立つ瀬に変化している地点です。
流れの真ん中に立たせ、目の前にある早瀬をめがけて石を投げて、ワン公を早瀬の中央に誘導します。石につられて、早瀬のど真ん中まで歩み出たところで、岸から声をかけて呼び戻します。
合否の分かれ目は、熊次郎が川岸までのルートをどう選ぶかという点です。
浮き石だらけの早瀬をまっすぐ横断して戻ってきた場合は、最短距離ではありますが「失格」となります。そのルートだと足場が悪く、流れが強いと途中で流されてしまう可能性があるからです。
いっぽう、早瀬から上流か下流に移動し、流れの緩やかなところを横断するルートを選んで戻ってこれたら「合格」という訳です。
つまり、緩急に変化する流れや川底の状態などを理解し、川のどこが危険なのかをきちんと認識し、状況判断と安全な行動ができるかというのが、今回のチェックポイントというわけです。
さて、くだんの熊次郎、早瀬から少し上流に移動して、釣り師のことばで「流れ出し」とか「払いだし」とか呼ばれる、安全なところをルートに選んで戻ってきました。
8ヶ月前に訓練を始めたときにはちょっと大きめだったライフジャケットも、1歳になった熊次郎にはちんちくりんになってしまいました。一応、教えたことは身につけたようで訓練の成果はあった模様です。
【第1部 おわり】
Memo
・佐波川/山口県
・撮影:2002/03
・旧版公開:2002/04/13、改訂版公開:2017/10/30
・次 は▶ 川で見つけたもの 080
・目次へ戻る▶ 川で見つけたもの【INDEX_blog版】
・目次へ戻る▶ 川で見つけたもの【INDEX_web版】
・一覧できる地図へ▶ MAPS 川で見つけたもの