夏は川遊びのシーズンです。聞くところによれば、川の水難事故で亡くなる人は、年間250~300人にもおよぶそうです。そのうち約3分の1は、溺れた人を助けようとして、二次災害にあい尊い命を落とされた人だそうです。
ということで川で河童どんに足を引っ張られないよう、川のレスキューの訓練を受けてきました。レスキュー訓練のプログラムは、アメリカに本部を置く民間団体 “RESCUE3” によって開発されたものです。スイフトウォーター(急流)での水難救助に関する考えかたと技術は、完成度の高いシステムとして世界中で高い評価と信頼を得ているそうです。
訓練は3日間、朝から晩までフルに使って行われました。
まず初日は、レスキューの哲学・流水の挙動・流れに潜む数々のワナ、セルフレスキューを含めた基本技術をインストラクター氏より学びます。翌日からは川などでの実習で、先のコンバット・スイムや上の写真のような渡河方法、さらにロープやゴムボートを使用しての特殊なレスキュー方法などについて、レスキューチームとして考えかたと技術を習得できるまで訓練を繰り返します。
訓練中に急流に耐えきれず流されてしまう場面もあり、瀬を横断中に流された3人に向かって、教官殿が投げたのは救助用のスローバック。 流された3人はライフジャケットを着ていますし、基礎的な泳法を習得済みなので別に溺れているわけではありません。けれども、藁をもすがる思いでロープにつかまります。
釣り好きの人たちがよく使う言葉でいえば「一荷釣り」の状態です。ロープにつかまった3人は、それぞれ「フェリーアングル」という体勢をとって、流れの力を利用して岸へと向かいます。
このような楽しい?訓練を毎日暗くなる頃まで行い、最後に試験をパスすると「スイフトウォーター・レスキュー・テクニシャン-レベル1」というライセンスが認定されます。
しかし、これでもってレスキューの免許皆伝というわけではありません。ようやくスタートラインについた段階です。訓練と練習を重ね、経験を積み判断力を磨いていかないと、水面下に潜む河童どんに呼び寄せられることになります。
Memo
・大堰川/京都府
・撮影:2002/05
・旧版公開:2002/05/31、改訂版公開:2017/09/02
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