草津川は、琵琶湖に流れ込む100余りの川のひとつ。草津市の中心市街地がある下流付近では、江戸時代中期ごろから明治にかけての間に、上流から運ばれてきた土砂が急激に堆積し、以来、川底や堤防が建物の3~4階ほどの高さを流れる『天井川』になっていました。
京都からJR東海道本線に乗って米原方面に向かうと、草津駅に着く少し手前で短いトンネルをくぐりますが、そのトンネルの上を流れていたのが草津川でした。
普段の草津川は、流れが伏流となっていて、川底には水がほとんどありませんでしたが、大雨が降ると、住宅の屋根よりも高いところを濁流が流れます。
もし、堤防が崩れて洪水があふれでたら大変なことになります。大雨の時は水害が心配で、おちおち寝てもいられないということで、数十年前から、天井川となっている下流の約5.7キロの区間を南に2キロほど離れた場所に移し、地面よりも低いところを流す放水路をつくる工事が行われてきました。
平成14年にその放水路が完成し、長年にわたって草津のまちなかを流れてきた草津川は、お役ご免になりました。
「廃川」とは、あまり聞き慣れない言葉ですが、今風に言えば、川のリストラです。川の付け替えなどで、全国で年に数本の川がリストラの憂き目にあっているとのことです。
さて、リストラされた草津川ですが、その跡地利用をめぐっては、ひと騒動あったようです。切り崩して四車線の道路をつくって欲しいという案や、緑地として保全する案、運動施設や防災空間として利用する案など、さまざまな案がでたようです。
地元にしてみれば、棚からボタ餅ならぬ広大な土地が天井から落ちてきた訳ですから、みなさんで話し合って決めて、ご自由につかっていただいて結構です。
ただし、行き場を失った高校生諸君が、コンビニにたむろするようなまちには、ならないようにしてください。
■Memo
・草津川/滋賀県
・撮影:1997/08、旧版公開:2006/07、改訂版公開:2017/02
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