兵庫県の西部を流れる揖保川の上流、宍粟郡一宮町には、『名畑橋』という名の小さな橋が架けられている。河原に転がっていた石を積み上げて固めた台座の上に、数枚の橋板を置いただけのシンプルなこの橋は、一般に「流れ橋」とか「板橋」と呼ばれている。
高温多湿な日本の風土は、独特の生活様式や木造・高床・草屋根の和風建築を生みだした。同様に、普段は温和だけれども、年に数回は自然の底力をみせる日本の川のほとりに暮らす人々は、自然に逆らわない構造をもち、橋桁が流されても容易に復旧できる橋、「流れ橋」を生みだした。
名畑橋は、地元の名畑集落の人々によって架けられた小さな流れ橋である。手入れも地元の人々が行っている。橋の板は川が増水しても下流にまで流されてしまわないよう、ロープで岸と結ばれている。さらにこの橋では、大水が出て橋桁が落ちたとき、元の位置に戻しやすいように独自の工夫が施されている。
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