さて、休憩を挟んで今度は、本日ふたつめの課題である遠泳の訓練です。場所は堰から500メートルほど下流に移動し、流入支川の合流点にある大きな水たまり。
この水たまり、幅は約15メートル、長さは50メートル近くあります。堰から河岸に沿って流れてきたホタル水路に支流の流れが合流しており、普段の流れはごく緩やかです。が、本流が緩やかなカーブを描いて流れているため、出水時には結構速い流れが走ります。当初は、子どもが水遊びの場として利用できる浅い水たまりとして整備されたようです。
ところが、ホタル水路が水たまりに入るところに大きな石を組んだ水制をつくったものですから、大水が出たときこの水制を越えた流れによって下流側の川底が深く掘り下げられてしまいました。真ん中あたりの一番深いところでは1.5~2メートルぐらいの深さがあり、幼児が立ち入るとえらいことになりかねません。
設計者を含め人間の知恵はまことに浅はかなものです。川はそれをあざ笑うかのように自然の底力をみせつけます。
この水たまり、うちの熊次郎はもちろん足が届きませんし、中学生ぐらいの子どもでも背が立たない深さで、訓練にはぴったりの場所です。
さて、今回はこの遠泳の訓練のために、新しい確保用のロープも調達してきました。これまでの訓練に使っていたのは、長さが10メートルのロープです。投げた棒きれを取るのに岸から往復しても泳ぐ距離は20メートル。これではお世辞にも遠泳とはいえません。今回からは長さ20メートルのロープを使いますので、泳ぐ距離も一挙に倍増です。
ただし、いきなり40メートルはちょっと酷ですので、最初は距離の短い横方向に泳がせます。
子どもたちが川で泳いだり遊んだりするのは、ご多分にもれず教育委員会によって御法度とされています。けれどもこの近くに住む子どもたちは、佐波川で泳ぐことを親から黙認されており、「我は川の子」とばかりに泳ぎも達者です。ワン公を泳がせていると、子どもたちも寄ってきてしきりにはやし立てたり、声援を頂戴したりします。当事者が申し上げるのもナンですが、たいへん好ましい川の風景です。
水たまりの横断方向で泳力の確認をすませたら、今度は長手の方向にロープの長さ一杯を使った40メートルの遠泳?訓練を行います。
20メートル先の棒をとって来る訓練を何度も繰り返すと、さすがにワン公も疲れてきます。今回の上陸地点は、石ころの転がっている傾斜の緩い河原ですので、いつも苦労していた上陸もバッチリOKです。まるでカワウソのようなスム-ズな動きでした。
Memo
・佐波川/山口県
・撮影:2001/07
・旧版公開:2001/08/02、改訂版公開:2017/10/28
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