■練習がはじまった
初夏の日差しがすっかり和らいだ午後7時ごろ、真新しい「まわし」を締めた子どもたちが、再びやってきた。水天宮の提灯にもロウソクの灯かりがともされ、地区の人達も見物に三々五々集まってくる。
すでに土俵では、大将の指示に従って力士達が四股を踏んだり、練習の取り組みがはじまっている。
河原の土俵で連休開始
どすこい、おりゃ~!
■いざ本番、まずは「一同、礼!」
しばらくして、大将の呼びかけで子どもたちが土俵に集まり、一列に並ぶ。大将の号令で見物人に挨拶をして、いよいよ相撲がはじまる。今年の参加者は10人の男児、見物人は大人や幼児など約30人と犬1匹で、ほとんどが地区の人達である。
子ども相撲は礼にはじまる、「一同、礼!」
むかしは、相撲に参加できる年齢層の男児が地区に30~40人ほどいたのが普通だった。参加者がたくさんいたので、相撲の取り組みも年長者から順に年齢別に行うのが慣わしだった。しかし、近年では子どもが少なくなってしまったので、年齢別の取り組みができないこともあり、年齢を違えての総当たり戦で行われるようになった。
大将が行事を務め取り組みがすすむ
重量級同士の対戦は見ごたえがある
土俵上では世話人の父親から、「相手の目ば見て、礼しぇんね!」、「きちっと礼をせい!」といったような、礼を重んじるよう声がかかる。
相撲好きの河童に勝負を挑まれたとき、深くお辞儀をすれば相手の河童もつられて頭を垂れ、皿の水を流してしまうことによって、河童の力を奪い去ることができるという昔話と関係しているのかもしれない。
正式な参加者である男児の取り組みが一巡すると、幼児や女の子、それに地区外から来た子どもの飛び入り参加も認められる。
飛び入り参加の豆力士
結びの一番「残った、残った!」
子ども相撲の結びの一番は、参加者全員が一堂に会しての乱取りである。優勝者には、優勝賞品として白い「虫取り網」が贈られ、その栄誉がたたえられる。
午後8時を少しまわったころ、相撲を取り終えた男児たちは、再び大将の号令のもと土俵に並び、世話人や見物人に挨拶をして子ども相撲が終わる。
子ども相撲は礼に終わる、「一同、礼!」
このあと、男児たちは、水神さまの前に飾ってあった花を筑後川に流す「お花流し」をするために、100mほど離れた真っ暗な川辺へと向かう。
【次は】水神さまのいる川辺 筑後川(5)
【戻る】水神さまのいる川辺 筑後川(3)