■船頭小屋の窓
船頭小屋は、川沿いに家並みが連なる鶴江側のほとりに建っている。渡し場の利用者の多くが鶴江地区の人たちであり、川を渡ってまちに出かける際、小屋のなかにいる船頭さんにひと声をかければ、すぐに舟をだしてもらえるよう便宜を図ってのことであろう。
小屋の窓ごしに渡し場を眺める
小屋のなかは2畳ぐらいの広さで、川に向かって大きな窓がある。窓の下には小さな机がしつらえてあって、ラジカセと時計が置かれいる。
台風などで川が荒れないかぎり渡し舟は年中無休で、運航時間は午前7時から午後6時までと決まっている。船頭さんには午前と午後に1時間ずつの休憩があり、川を渡る客の求めがあればその都度舟をだす。
対岸の浜崎側にも小さな待合い小屋がある。そこから船頭小屋に向かって手をふれば、それを見つけた船頭さんが舟で迎えに来てくれる。
船頭小屋の前に舫われた舟
江山さんが先代の渡し守より舟の櫓を引き継いだのは1975年の4月だという。それからいったいどれくらいの時間、この窓ごしに渡し場の風景を眺めてきたのであろうか。
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